43人が本棚に入れています
本棚に追加
ソイツはそう言って、前を見た。
ぼーっと見てると列が前に進んで、オレとソイツも前に出る。
「あ…」
驚いた。
薄暗いひかげで見えなかったけど、ひなたに出たソイツの髪と目が他のヤツラと違っていたから。
はくぎんとあお。
周りのヤツラは黒。
オレもかあさんから、そのかみはひとめにつくからと鬘を被せてもらっていたから黒。
くろの中にキラキラ光るしろ。
ひつぜんとまわりの目がオレの隣に向けられる。
ヤツは気付いてまた泣きそうになって、うつむく。
「……………」
―――なんかばかばかしくなってきた。
バサッ!
くろをぬぎすててそこらへんにポイッと投げた。
とたん、さらにざわつく。
きめぇ。
こっちみながらコソコソはなしてんじゃねぇよ。
おい指さすな。
「―――おい、」
「………?」
ヤツに声をかけた。
ゆっくりと顔をあげるヤツはやはり涙ぐんでいて、オレのかみをみたら涙がひっこんだ。
「オレもくろじゃねぇんだからな」
「………!!…それ、じげ、なの……?」
じげ?
「…ん」
鬘を指さした。
.
最初のコメントを投稿しよう!