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「それと、七瀬さんの子だって生まれつきだと思いますよ――ね?」
「あ…はい」
「教育、教育って、どういう教育をしてるのか聞きたいのはこっちなんですよ。人の髪を切ろうとするなんて犯罪だっつーの」
「え」
母さんの口調が変わったぞ。
そーとーキレてる。
「髪…?ま、まさか伊織が泣いてるのは髪を!?」
サッと顔が青くなってバッとババァから距離をとったななせ達。
周りもざわざわしてきた。
…けっ、ざまぁねぇな。
「―――まつ…?どうした、これ。あ、よう、涼。また悪さしたのかー?」
いきなり教室の前から入ってきた親父がなんとも間延びした声で言った。
オレの髪があかいのは親父譲りだから、親父ももちろんあかい。
「オレじゃねぇしばーか」
「このひねくれ野郎…」
親父は口をひきつらせる。
煩かった教室内は静まりかえったままだ。
まぁ…親父の姿があれなだけだと思うけど…。
母さんと親父が揃えば、喚いていたババァもようやく黙った。
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