ボクハキミヲユルサナイ

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最近、夢を見る。 とても嫌な夢だ。 君は笑っている。 そのまわりを蝿がたかっている。 可愛いね、 可愛いね、 可愛いね、 可愛いね、 可愛いね、 可愛いね、 可愛いね、 いつしか羽音は言葉に変わる。 君は拒みもせずに受け入れる。 黒いエゴで染まった言葉を、言の羽をニコニコ笑って受け入れる。 「ありがとう」 そのとき、君の肌が爛れた。 僕はもう見ていられなくて、手にしたフォークを振りかざす。 そして、君の醜く爛れた肌を抉る。 僕は泣いていた。 君を助けたかったから。 僕の言葉で、可愛いとはもっと違った言葉をかけてあげたかったから。 爛れた肉は思ったより簡単に剥がれ、骨が見える。 そして、君は完全に原型をとどめていなかった。 そのとき、僕は笑った。 大声で、笑った。 数分前まで、こんなこと望んでいなかったのに。 君が君でなくなることが怖かったのに。 今は、この状況を受け入れ、喜びさえ感じてる。 いつのまにか僕にも蝿がたかり、喚き続けている。 ボクハキミヲユルサナイ ボクハキミヲユルサナイ ボクハキミヲユルサナイ ボクハキミヲユルサナイ ……………ああ、そうだよ、
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