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もしも…私が妊娠していたら
聖はきっと今まで通り
私を愛してくれるだろう。
けれど…
私の中に起きた変化が
それをどこかで拒んでいる。
子供の母親だからではなく
私という一人の女を
聖に愛して欲しいと
切実に願ってしまうのだ。
それでも…
微かな希望を胸に
私は翌日、松田先生の
ご実家である産婦人科へと
足を運んだ。
昨日薬局で買った
検査薬での結果が
事実なのかを確かめるために。
朝一番の新幹線で来ただけに
まだ待合室にはお腹の大きな
女性が一人だけ。
受付で問診票を記入し
手渡された紙コップで
尿検査を済ませた後、
正面にあるモニターを見つめ
ぼんやりとこれからの事を
考えていると
次々と大きなお腹の
妊婦さんたちが訪れては
受付を済ませて行く。
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