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暗い夜だった。
月明かりは厚い雲に覆われている。
そんな中、俺は魔狼から逃げている。
明らかに魔狼は手を抜いて走り、俺を誘導している。
…この世界には魔法、魔力がある。
生物の8割は魔力を持っている。
人間もその内の1種。
しかし、例外もいる。
俺のように魔力の無い者だ。
まあ、貴族等だと捨てる事も有るらしいが、俺の家は中級の商人。さらに、ある程度栄えた街だが横の繋がりは強くてイジメなども無かった。
だが、俺は忘れていた。
俺を魔力無しにしたのは神で、
運命とは薄情であることを。
祖母の為、薬草を摘んでいた時、なにを嗅ぎつけたのかは分からないが魔狼に囲まれていた。
魔狼位ならば、殆どの人は倒すか逃げる位は出来る。魔法を使ってならば。
俺は、都合良く魔力が出てくる事も無く逃げる事になった。
逃げて行き着いたのは
「これは…魔界とのゲート?」
魔界と俺らの住む世界を行き来出来るゲートと呼ばれる時空の裂け目だった。
こんな所に有るとは知らなかったので、よく見ておきたい。
しかし、俺は魔狼に追われている訳で。
そのゲートに入るしか無い訳で。
身体の限界を迎えつつ魔界に入ると
急に苦しくなって、今に至る。
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