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「相変わらずの棘のある話し方ねー。それにしても随分久し振りじゃない」
「それもそうね。私としても久々に時玻と会えて嬉しいわ」
うふふふ……。
あたし達は笑いながらそんな会話を交わした。
そしてあたしはその笑い声が途絶えると同時に青龍の肩を強く掴みこう言った。
「今すぐ元に戻せアホ水神!ただでさえ古いのに床が腐るでしょ!?あんたにはこの家が木造建築だって見てわかんない!?あんたの目は節穴なの!?」
会えて嬉しいなど虚言に過ぎなかった。
「あら、てっきり結界が貼ってあるから大丈夫だと思ったのだけど」
「それは外だけよ!何でいちいち家が浸水することを見越して家の構造通りに結界貼らなくちゃならないのよ!いいから早く戻しなさい!早く!」
「ふぅ。あなたも人使いが荒い巫女ね。ついさっき家に来たばかりの友人に家を修理しろなんて常識に欠けると思わないのかしら?」
「あんたにだけは常識問われたくないわよ!」
ガルルルル……と狼みたいな唸り声を発して威嚇を続けると、青龍は溜め息をしてから軽く指を鳴らす。
すると、床の水分が宙に浮き始め、ゆっくりと浮上。そして一瞬で消失した。
気づけばあたしの濡れていた服も濡れる前に戻っており、何故か寝癖が治っていた。
「これで文句はないでしょう?」
「……えぇ。危うく自分の家が友人の差し金で倒壊するかと思ったわ」
「このくらいで大袈裟ね。この程度で倒壊していたらこの世界の家は今頃全ての民家が倒壊していると思うのだけど?」
「あんたねぇ……」
青龍のそんな発言にあたしは肩を竦めた。
「お母様。時玻お姉ちゃんにアレ渡さないの?」
「アレ?」
青菜の言葉に耳が反応する。
「そう言えば、あんた。何でここに来てんのよ?」
「青菜。あそこに狐のお姉ちゃんが寝ているから起こして遊んでもらって来なさい」
「えっ?いいんですか?」
「えぇ。構わないわ。ほら行ってきなさい」
「はーい!」
青菜がドタドタと走って行く。
次の瞬間「ギャー!」「ギブ!ギブアップゥ!」と叫び声が聞こえてきた。
「……大丈夫なの?」
「大丈夫よ。いくら青菜でも力の加減は知っているはずだから」
それって本気出せばヤレるってことですよね……。青菜、恐るべし。
「まぁお互い茶番はここまでって感じね。場所を移しましょ」
「ありがたいわ。あまり人には聞かれたくない話だから」
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