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「巫女様からお礼なんて光栄ね。今度何か奢ってくれるのかしら?」
「ねだる相手間違ってるわよー。ここには何にもないんだから」
「あら、残念だわ」
そう言って青龍が襖に手を掛ける。
「あれ?もう帰るの?」
「えぇ。そもそも長居する予定ではなかったから。そろそろお暇させてもらうわ」
「そう。最近物騒だし気をつけて帰りなさいよ」
「ご忠告いたみいるわ。あなたも気をつけなさいよ」
襖を開けて青龍が部屋を出ようとした時、彼女の足が止まった。
「一つ、言い忘れていた事があるわ」
「ん?」
「[あなたの思うままに行動しなさい。私はいつもあなたを見守っているから]とのことよ。菊葉から受け取ったこの伝言、確かに伝えたわよ」
「……はっ?」
今、青龍は菊葉って言った?
「ではまた何処かで会いましょう。時玻」
「まっ、まって!青龍!今の何よ!?」
結界から出た青龍はあたしの声に気づかず、そのまま部屋を後にする。
あたしも慌てて部屋を出て廊下へ出るが青龍の姿はどこにもなかった。
「……青龍……あんた一体」
あたしは廊下でただ某然と立ち尽くしていた。
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