第32章 消えたネックレス

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第32章 消えたネックレス

 相沢の次に、愛子を応接室に呼んだ。  木内は、机の上にネックレスを置き、単刀直入に言った。 「このネックレスに見覚えがあるだろう」 「あれ、私のネックレスによく似てますね。同じ種類のものですかね。これが何か?」 「同じ種類じゃなくて、これはあなたの物だ。この写真を見てみろ、このネックレスをしてフォトコンテストに出席していた事は、分かっているんだ」  木内は、遠山から借りてきた写真を出して、駄目を押した。 「ネックレスは、部屋に置いてあるはずです」 「ふん、そうかい。そこまでいうんなら、あなたのを持ってきてもらえますかね」 「分かりました。ちょっと、お待ち下さい。今、持って来ますので」  愛子が、ネックレスを取りに向かった。  10分経っても何の音沙汰もなかった。15分経って、愛子が青褪めた顔で戻ってきた。 「ネックレスはあったかい?」  木内は、冷たく尋ねた。 「ありませんでした。1週間ほど前に使った後に、確かに入れておいたはずなんですが…」 「あんたのネックレスのプレートには、Iというアルファベットが刻印されているだろう」 「はい、そうです。でも何故それをご存知なんですか?」 「それは、このネックレスにもIの刻印があるからだよ」
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