0人が本棚に入れています
本棚に追加
第32章 消えたネックレス
相沢の次に、愛子を応接室に呼んだ。
木内は、机の上にネックレスを置き、単刀直入に言った。
「このネックレスに見覚えがあるだろう」
「あれ、私のネックレスによく似てますね。同じ種類のものですかね。これが何か?」
「同じ種類じゃなくて、これはあなたの物だ。この写真を見てみろ、このネックレスをしてフォトコンテストに出席していた事は、分かっているんだ」
木内は、遠山から借りてきた写真を出して、駄目を押した。
「ネックレスは、部屋に置いてあるはずです」
「ふん、そうかい。そこまでいうんなら、あなたのを持ってきてもらえますかね」
「分かりました。ちょっと、お待ち下さい。今、持って来ますので」
愛子が、ネックレスを取りに向かった。
10分経っても何の音沙汰もなかった。15分経って、愛子が青褪めた顔で戻ってきた。
「ネックレスはあったかい?」
木内は、冷たく尋ねた。
「ありませんでした。1週間ほど前に使った後に、確かに入れておいたはずなんですが…」
「あんたのネックレスのプレートには、Iというアルファベットが刻印されているだろう」
「はい、そうです。でも何故それをご存知なんですか?」
「それは、このネックレスにもIの刻印があるからだよ」
最初のコメントを投稿しよう!