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木内は、止めを刺すように続けた。
「このネックレスは、矢崎の殺害現場と目されている釜ヶ淵で見つかったものだ」
愛子が、狐に摘まれたような顔で木内を見た。
「もう一度良く見てくれや。あなたの物で間違いないな?」
彼女は、ネックレスを間近で見詰めた。
「確かに、これは私の物のようです。でも、確かに化粧棚の引き出しに入れて置いたはずなのに、何故、釜ヶ淵なんかに?」
戸惑う愛子に構わず、木内は質問をぶつけた。
「それと、5日前の夕方、あなたは、何処で何をしていた?」
「急にそんな事聞かれても…確か社長室で仕事をしていたと思いますけど」
「それを証明してくれる人はいるのか?」
「さぁ、どうだったかしら…、何だか気が動?して、よく思い出せません」とこめかみを押さえた。
「ちょっと署までご同行願おうかな。取調室で、ゆっくりと話を伺いましょう」
木内は、愛子をパトカーへ同乗させて佐久署へ向かった。
外は、激しい雨が降っていた。
雨滴が路面を叩き、しぶきが銀色に煙っていた。
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