第33章 アリバイ崩し

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「自白の強要ですか。時代錯誤も甚だしいですね。私は、矢崎さんとはフォトコンテストの表彰式で会っただけです。全く関係ありません」と強い視線で睨み返した。 「まぁ、良い。何時までその強情が続くかね。数日は、まずい飯を食ってもらうから、覚悟しろよ」 「その必要はないみたいですよ、刑事さん。私、矢崎さんが殺害されたという日の夕方のアリバイを思い出しました」 「あんた、さっき、ずっと社長室に居たって言ったじゃねぇか?」 「えぇ、ずっと社長室に居ました。でも夕方に、観光協会の遠山会長から電話が掛かってきて、30分ぐらいは話をしていたと思います。それに、電話が終わった後、森泉という社員が、社長室に郵便物を持って来てくれました。彼女が来たのは、大体、午後6時くらいだったと思います」 「嘘はいくらでも言えるからな」  木内は取り合わなかったが、内心は焦っていた。  そこまで詳細なアリバイを思い出すとは考えてもいなかった。  証言の裏を取って、もし愛子の証言が、本当ならば、保釈せざるを得ないだろう。木内は、金子に向かって、遠山から証言の裏を取るように指示した。  金子は直ぐに、遠山の自宅に電話した。 「遠山さん、確認したい事があるんです」 「何だ、まだ俺を容疑者扱いしてるのか?そんな事をしてる内に、真犯人が逃げちまうぞ!」   張り上げた遠山の声が耳に痛かった。 「いえ、遠山さんのアリバイに関しては、静岡で一緒に行動していたという観光協会理事の丸山さんから、証言が取れました」 「じゃぁ、俺の疑いは晴れたということだな。それで、何の用だ」
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