第31章 北海道の七夕

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「嘘を付くな。愛子は、先週、開催されたフォトコンテストでも、このネックレスをしているんだ。当然、あんたも、その時に見たはずだ」  木内は、大声で言って、稲葉の顔めがけて指差した。 「そういう手前味噌な推測は、止めてもらえますかね。僕は、フォトコンテストとは全く関係のない仕事しています。正直言って、札幌進出の企画とブライダルの仕事で忙しくて、そんな趣味のような仕事に関わっている暇はないんですよ。なので、副社長が、どんな服装をしてフォトコンテストに出たなんて知りませんよ。それに刑事さん、あんた卑怯だよ」 「な、何だと」  木内は額に青筋を立てた。 「だって、そうっしょや。持ち主を知っていたくせに、如何にも知らないような顔をして、探りをいれるなんて、社会の治安を守る警察のすることじゃないよ。やり口がヤクザと同じだね」 「犯罪を暴くには、こっちもそれなりに頭を使わねぇとならねぇからなぁ。まぁ、ネックレスの件はこれでいい。おい、最後にもう一つ。あんたの車種を教えろや」 「BMWのM3クーペです。色はシルバー」 「ちぇっ、RV車じゃねぇのか」  木内は舌打ちをした。 「それが、何か?」 「参考に聞いたまでだ。ちなみに、愛子の車は何だ?」 「副社長もBMWです。彼女は、3シリーズのカブリオレに乗っています。スイッチ一つでオープンカーになるタイプで、色はレッドです」 「くそっ。みんな、いい車に乗ってるな」
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