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「はい!」
「まずは貴様からだ!巫女!」
「させませんよ!妖術【災いの大旋風壁】!」
鬼に襲われたあの時よりも、遥かに大きい暴風の壁。これを超えられる訳が無い!
「やった!」
「調子に乗るなよ!ザコ共がぁぁぁ!」
壁の中にいるベリアルが何をしたのか徐々に壁に綻びが生じる。
そしてその勢いはスピードを増し、やがて破壊される瞬間がやってくる。
「う、嘘!?」
「死ねぇぇぇぇぇぇ!」
「あぐっ!」
正面突破されて無防備だった私は首を掴まれて身動きが取れなくなる。
「天乃ちゃん!?神術!」
「はぁああぁぁ!」
「きゃあぁ!」
陽真里さんが術を発動しようとしたが、ベリアルに蹴りあげられ、仰向けになって倒れた。
「陽真里、さん…!あぐぅ!」
「手間を取らせやがって。あいつの関係者は全員こうなのか?」
(あいつ?一体誰の事を言って……)
「まぁいい。これで歯向かう奴はいなくなった。これからここを中心に莫大の魔力を包んだ爆弾を仕掛けてやる。それでこの世界は新しく生まれ変われるんだ」
「く……。そんなの、間違って…ます!」
「黙れ。半妖」
「くあぁ!」
息が…続かない……。そんな、ここまでなんて……。
「あまの、ちゃ……」
「恨むならこの世界に生まれた事を恨むんだな」
結局、時玻さんは来てくれなかった。
なんで?なんで……、来てくれないんですか?何時だって助けてくれたじゃないですか。
最初にあった時だって。あの鬼との時だって……。こんな仕打ち、……あんまりですよ。
「……ぐ、……なら」
「?」
「裏切るんだったら、……最初から、助けないで…下さいよ!時玻さんの、バカぁぁ!」
残り僅かな息をそんな暴言に変えた。これが最後の遺言になるかも知れないのに。
本当のバカは私かもしれない。
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