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「はぁ~い。待ったかしら?何度も死にかけてる烏天狗さん。さっきは随分な事言ってくれたみたいだけど」
冗談の一つ。今だって決して全く笑える様な状況じゃない。
でも知らず知らずの内に、私は笑って涙を零していた。
「滅茶苦茶待ちましたよ!もう少しで本当に死んでましたからね!?もし助けに来てくれなかったら化けて一生枕元で念仏唱える覚悟してましたからね!?」
「まぁもうちょっと早めに出れば良かったんだけど、それじゃ見栄え悪いと思ったから、実はずっとタイミング見計らってたのよ。ヒーローは遅れて登場するって相場が決まってるしね」
ニヤニヤと笑いながら時玻さんがそんな事を言う。私は時玻さんの服をつまんできり返した。
「枯葉まとって汗かいて、ですか?」
「んむっ?」
「……本当は走って来てくれたんですよね。時玻さん」
いとも簡単に嘘がばれた時玻さんは、冗談もここまでかと言った顔で私の額を軽くこついた。
「あうっ」
「……どれだけ走ったと思ってんのよ。本当に心配したんだから」
「すいません……」
時玻さんは私の頭を撫でると、座っている私に手を出した。
「まだやれるわよね。天乃」
「……はい!」
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