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『辛そうだな』
電話の向こうで、椎さんが言った。
きっと、眉をひそめて気難しい顔をしてるんだろうなって、想像できる声で。
「すいません、熱だけなんで、明日は大丈夫だと思うんですけど」
『そういうとこで無理すんな、疲れてんだろ』
「はぁ…」
楽しく遊んで布団に入って、目が覚めたら熱が出てるって。
何だこりゃな気分。
バイトの日だったから、電話を入れたら昨晩一緒に飲んでたはずの椎さんはケロリとしてるし。
せめて宿酔くらいなっといてくれたっていいのに。
なんて、埒もないことを考えてしまう。
『お大事に。後で見舞いを寄越すわ』
とりあえず寝ろ、と、電話を切られてしまったので、自分の部屋に戻って布団に潜り込む。
家全体がグラグラと揺れている気がするのは、きっと熱のせい。
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