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「こいちゃんは、スゲーなぁ」
自然と口からそうこぼれた。
「ん?」と首を傾げるのに、苦笑い。
こんなにスゲーのに、全然自覚ない。
「家事スキルもさ、俺みたくやむを得ず身につけたわけじゃなくて、楽しそうだし。椎さんに尽くすのも全然苦じゃなさそうだし」
「尽くすって…うん、まあ、ね。あの人、ホントに家事しないから」
でもおたがい実家だからそんなになんでもかんでも手を出してないよ、と、呟いてこいちゃんは湯呑に口をつけた。
ごくごく普通のことのように。
椎さんは、気を使ってる。
男同士だっていうことを受け入れられない人もいるから、そう言っていた。
こいちゃんは、そんな椎さんの堅いとこ含めて、受け入れてる。
そんな気がした。
「羨ましいな」
「何が」
「こいちゃんと椎さん」
「そう?」
「うん、俺、今ふられんぼだからさ、何かすごくラブラブに見えて、羨ましい」
ちょっとだけ笑ってそう言ったら、こいちゃんは何故だか申し訳なさそうな顔をした。
「あのさ、オレとふぅちゃんのこと、ハルタさんがどう思ってんのか知らないけどさ…据え膳は食っちゃうよ、オレ」
「え?」
「ラブラブっていったって、ホントにここ何か月って話だし」
「え、そうなの?」
「そうなんだよ」
だから、羨ましがられるほどのもんじゃない、と、こいちゃんは申し訳なさそうに言った。
「こいちゃんの方が、椎さんに惚れてると思ってた」
「うん、そうなんだよね。オレがふぅちゃん口説いて、ほだされてくれた。だからっていうか……まあ、進んで他の子に手を出したりはたりはしないけど…オレ、意志弱いから、ねぇ」
「ええと…」
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