Page:0-->Prologue

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   バンッ、と、スポットライトに照らされるように僕は話し始めたと思って、このモノローグを聴いてもらいたい。  はじめまして、こんにちは。  僕の名前は、八咫叢雲(やたむらくも)という。八咫烏の八咫に、天叢雲剣の叢雲と書いて八咫叢雲。ものすごい名前だけど、本名だ。  今回の物語は、僕らの物語である。  人生という道を、ずいぶんと脇道に逸れてしまった、化物になりきれなかった人間達の物語だ。  今となっては、果たして僕らの人生に道なんてあったのかさえも朧げだが、僕達は今ここにこうして在り、そしてこれから先も在り続けるのだろう。  それはとても浅ましく、そして厚かましく。  今回の幻想の物語、それは来って、喰って、苦って、そして繰われた結果が現れた僕らの物語なんだけれど、何をどう間違えたのか、例の詐欺師と詐欺師の愉快な仲間たちも現れちゃったり。  お陰で僕の親愛なる友人ちゃん達が暴走気味になってしまう……のだけどまあ、今はそこまでの情報は要らないだろう。  僕はあくまで僕であり、かの詐欺師とは違うのだ。  彼と違って芝居がかった調子などできはしないし、どうしても彼と異なった事をしたくなってしまう。  ――まあ、簡潔にまとめると。  貪欲で、強欲で、だけど変なところで謙虚な食いしん坊たちのお話なので、どうか食われてしまわないように、どうか操られてしまわないようにお気を付けて下さい。  どのようなことが起ころうと、僕は一切の責任を負いかねます。  さあて、それでは、  東京都蝕人特区。  只今、開幕で御座います――
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