754人が本棚に入れています
本棚に追加
/240ページ
バタバタと暴れて今の状況から逃げ出そうとする真織を、緒凛は身動きの取れぬようぐっと体重を掛けて阻止してきた。
「……真織が立ち上げるプロジェクトの支援金、出すのは俺だよな?」
「……そ、そうだけど?」
「ならば俺はお前を好きにしていい権利があると思うが?」
「癌治療薬が完成すればちゃんと返すって言ったじゃない!」
「元だけで済むとでも思っているのか? 人から金を借りるんだ、当然利子と言うものが発生する」
それが当然だと言わんばかりの緒凛の発言に、真織は全身から冷や汗をかきながら恐る恐る緒凛に尋ねた。
「ま……まさか……それを体で払えって言うんじゃないでしょうね?」
「理解が早い。賢い子は好きだよ真織」
そう言って緒凛が真織の額にチュッとキスを落とせば。
真織は全てを理解したように言葉を失った。
つまり、真織は今後かかってくるであろうプロジェクト支援金の利子の分を、この行為で払っていかなければいけないらしい。
今までの家事をさせられた方がよっぽどマシだ。
またこんな形で借金生活を送るだなんて思ってもみなかった。
にんまりと微笑む緒凛に真織は涙目になって誓うように叫んだのだった。
「――っ私! 買います!」
完
最初のコメントを投稿しよう!