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グレーのPコートを着ている晴香ちゃんは、モカブラウン色のセミロングの髪を持つ、可愛い系な顔つきをした見た目は女の子らしい女子。
伊真ちゃんはどちらかというと男っぽい格好を好み、性格もさばさばしている女子で。
見た目は全然違う二人だけど、あたしを弄る時だけは嫌ぁな同じ顔をしては楽しそうにしてるのよねぇ。
タッグを組んだ二人を半眼で見ながら、あたし達は伊真ちゃんの目的地に向かった。
もうすぐクリスマス。
最後のクリスマス。
当たり前に繰り返されていたお祝い事で、これからも当たり前に何の疑問も無く繰り返されると思っていた。
でもそれは二年前に考え方を改めさせられることになってしまって……。
もう回数が限定されてしまったクリスマスは、後数日後のクリスマスをもってお終いになってしまったの。
信じられないようなことを突き付けられた人達は現実を受け入れてしまったら、逃れようのない死に怯えて狂ってしまっては家に閉じこもってしまったり、犯罪を犯してしまったりと人の中の怖い部分が露わになった人達だっている。
そういったニュースも連日見るもの。
人は脆いわよねぇ。
なんて、あたしらしくない思考を働かせながら白い息を吐いて、全然ラッキーじゃないスターが落ちてきた空を見上げた。
年々増える二酸化炭素によって空はきっと大昔に比べたら曇ってきているかもしれないけど、でも今夜の空もあたしは綺麗だと思えるわぁ。
空に浮かんではきらきらと輝いている星をまるで砕いて地上に落として飾ったかのような通りにまた目を戻して、その中を歩く……伊真ちゃんを見た。
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