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青年を乗せた馬車は近衛兵に囲まれて丘を進む。
同乗した神父と思しき男が、本を開いてしきたりを読み上げる。
「王室始まりの地である古城より一つ丘を越え、この先の教会にて婚約の儀を行うのがしきたりです。新郎は先にそちらで新婦を迎える準備を」
「うむ」
「その後、姫様は陛下とともに道のりを参られます」
コトコトと馬車は進む。青年はコクリコクリと舟を漕ぐ。
「さすがに豪胆ですな」
「いや、すまん。随分と長いバージンロードだな」
「もうすぐ着きますぞ」
そこに目を冷めるような声。
「急報ー!」
赤旗を掲げた伝者が馬を飛ばしてやってきた。
「魔物の群れが陛下の行列を襲撃!」
「な、なんとー!?のわっ……」
青年は驚く神父を突き飛ばすように馬車から飛び出した。
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