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 広大な城府。妖気の渦巻く曇天。  城の外は荒廃。  城壁は幾度もの襲撃に晒されたようで崩れかかっている。  開いた穴から見える内側も廃墟ばかりのようだ。  もはや王都は機能していないように見える。  だが、そこにはまだ戦いの気配が確かにあった。 「うわぁ!ゴブリンだ!」 「?」  男が振り返るとあの少女が茂みから飛び出した。  その後ろから毛のないゴリラのようなものが襲い掛かる。  ボゴッ  男が救い上げるように殴ると、その魔物は霧のように散った。 「なぜここまで付いて来た」 「へへっ、モノが不足してる街の方が高く売れるでしょ」 「……」  無言は苛立ちも含む。だが、説教の前に少女は目を潤ませた。 「ねえ、旦那。冗談なんでしょ?旦那の力で女の人殴ったら、死んじゃいますよ」
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