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「む……」  男の苛立ちは反省に変わる。  余計なことを口走り、無用な心配をさせたのだろうか。  ズズーン!ズズーン!  遠くの方で何か大きな振動。 「な、なんですかね?」  白馬に乗り、少女を無造作に担ぎ上げ長い城壁を迂回する。  ドオオーン!  城壁の一部が崩壊し、粉塵が舞っている。  城壁と同じような巨大なシルエット。  埃の隙間から見えるのはレンガのような肌。 「で、でかい!ストーンゴーレム?」 「放ってはおけんか」 「い、いくんですか?」 「ここにいろ」  馬を降りバサと衣を翻すと、腰元の短い剣が光った。 「あ、あれでしょ?その剣が実は伝説の……」 「飾りは派手だがナマクラだ」 「そんな!」  近づけば近づくほど大きさと頑丈さが見て取れる魔物。  だが、男はふと目線を外した。
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