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「いつもそう、あなたはそうやって……。あら?」 「む?」  ギャー!  カラスのような声が上空から降りてきた。 「ガーゴイルだ!」  地に伏せる少女。  二匹の翼を持った魔物が男と姫に襲い掛かる。  ボボン!  まるで誇りでも払うかのように、二人は魔物の頭部を打ち砕く。  男は拳で、姫は美しく蹴り上げた。 「ここでは落ち着かない。明日は聖者の日。魔物も落ち着こう。出直す」 「……闘技場でお待ちします」 「わかった。存分に語り合おう」 「語ることなどない。再びねじ伏せて送り返すだけだ」  姫は王者の気風を漂わせるように踵を返し、崩れた城壁から城へ帰って行った。
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