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参
変わってしまった日。
青年は少数の兵と共に、押し寄せる異形の軍勢を突破した。
「!?」
急に開けた古城の庭。
魔物の群れの残骸が散らばっている。
その中心にはドレスを血に染めた姫。
不気味な光を纏って髪を逆立て、額には怪しげな紋が浮き出ている。
「どうしたことだこれは……」
「悪魔の禁書?そんな、まさかそんなものが本当にここに封印されて……」
驚愕する近衛兵の視線の先。姫の頭上には古書が開いた状態で浮いている。
「もう、もう死なせない……!」
「もういい!」
青年は折れた剣を捨て、変わり果てた姫に駆け寄る。
「全ての魔物を倒す!」
拒絶するような威圧は竜の咆哮のような風を巻き起こす。
近衛兵たちが飛ばされる中、踏ん張る青年。
「いずれまたその機会もできよう!今は共に逃げるんだ!」
「だめ……!彼らを見捨てるなんてできない!」
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