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 郊外の川辺で大あくびをする少女。 「朝日も鳥の声もなし、か」  白馬だけがヒヒンと鳴いた。 「それが今のこの国だ」  青年は水浴びをして髪を切り、髭を剃っている。  大岩の裏で少女は呟くように話しかけ続けた。 「あれが、ポワンの姫か……。まぁ、確かにアレじゃ、女と呼んでいいか分からないですよね。怪物です」 「……女だ。間違いなく」  遅い返事に少女は意地悪するように言った。 「間違いなく……愛した女?」  ぬっと強靭な肉体が横切る。  少女はとっさに背を向けた。 「じょ、冗談ですよ。でも、わがままなお姫様だね」 「割り切れぬのだ。全てを救いたい気持ちも分かる」 「でも、結果的にはそんな気持ちも、国民ごと呪いに飲み込まれちゃったわけだ」 「……まるで禁書の悪魔が、じわじわと消耗しきるまで楽しんでいるかのようだな」  着替えを終えた男が「よし」と一言。  そこには野獣のような大男はいなかった。  翻るマントの中は金糸をふんだんに使った白い騎士服。  金の髪の逞しくも麗しき王子の姿があった。 「……ヤダ、イケメン」
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