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肆
強国の象徴とも言える様な闘技場。
ここしばらくはただの訓練場となり、壁は風化し始めている。
入り口の前には歴戦の傷を鎧に刻んだ兵隊達がいた。
「久しいな」
「もはや親衛隊、近衛兵含めてこの老兵だけとなってしまいました。本軍も僅かばかりに」
かつて姫のそばにいたお世話役は隻腕、隻眼になろうともまだ耐え抜いていた。
「何故立ちふさがる」
「お引取り下され殿下。もう後には引けぬのです」
「玉砕というわけか」
「この国は滅びるでしょう。しかし、一匹でも多くの魔物を道連れにします」
「滅ぼさせん」
「これが姫の望みなのです!」
「それは違う」
王子は言い切った。
「……さすがにございまする」
老人はぼそりと言った。
ダダッ
その通りだと分かっていても尚、王子に槍を向け突進する兵たち。
「今の俺は老人だろうと女だろうと加減はせぬぞ!」
「承知の上!」
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