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 ズズン  でかい。  山賊の馬がロバに見えるほど、白馬は巨大で威圧感があった。  鋭い眼光と馬力を押さえ込むような落ち着いた吐息。 「い、いい馬じゃねぇか」  馬上にはこれまた山賊と違わぬようなボロで頭までを身に包んだ男。 「……」 「おっと、変な気は起こすなよ。俺たちゃ山賊だが、魔物狩りだってやるんだ」 「ついでだ、身包み置いていけや!」  ためらいなく山賊の一人が不恰好なダンビラを振るう。  ガッ! 「ぐわっ!」  ダンビラを弾き落としたのはバンテージのように布を巻きつけた拳。  ボロの男が手綱を引く。  ボボッ!  空気を切り裂く馬との足と男の拳。
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