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 数名の山賊が宙に舞い地に伏せるまで、時間はかからなかった。  後ろで様子を窺っていた残りの山賊は、敵わぬと見て散った。  フードのように被っていた布がずれる。  男は薄汚れた金髪で顔は髭に覆われていた。  白馬から降りると、ひょいと少女を持ち上げる。 「わわっ?」 「森の外まで送ろう」  少女は馬に乗せられ、男は手綱を持って歩く。 「旦那はいい人ですね。弟子にしてくださいよ」 「弟子?」 「ボクはいろんなものが見たいんです」 「……」  返事がないのも当然か。 「あ!」  歩を進めると逃げたはずの山賊が固まっていた。 「ボス!あいつです!」  通行人から巻き上げたらしい荷物が山と積まれている。
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