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 腹に響くほどの踏み込み。  山賊が残像を見るほどの動きで懐に飛び込んだ男。  足から腰を上る螺旋状の力。  空気を切り裂く腕が唸る。  ようやく気付いた山賊は冷や汗を流しつつも笑った。  どんな攻撃が来ても耐えられる自信があった。 「全身甲冑のこの……」  ドゴォ!  大砲の弾の衝突音にも等しい。  厚手の胴を正面から破壊し、めり込んだもの。  拳。  バガッ!  衝撃は背の鎧まで砕く。  ブオッ!  山賊のボスは風を切り、森の木々を越えてはるか彼方に吹っ飛んでいった。  静寂と沈黙。
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