5人が本棚に入れています
本棚に追加
「バケモノだ……!ホンモノのバケモノ……!」
「魔物なんかよりよっぽどやべえ!」
今度は地の果てまで逃げんばかりに去る山賊。
男は白馬の元へ戻ると再び手綱を持ち、何事もなかったかのように歩き始める。
「旦那はこれからどこへ?」
物怖じしない少女。
「ポワン」
「え?あの城は今、危険ですよ?どういうわけか魔物が集まってきて、民もなぜか目を血走らせて日夜戦ってるって噂が……」
「知っている」
少女は腕試しの武辺者とでも理解したのか、答えを分かっているつもりで尋ねた。
「そんなところに、何をしに?」
足を止め、陰の中で眼光を光らせる。
その先の空は不自然な暗雲が立ち込めていた。
「女を、殴りに行く」
「……え?」
最初のコメントを投稿しよう!