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「バケモノだ……!ホンモノのバケモノ……!」 「魔物なんかよりよっぽどやべえ!」  今度は地の果てまで逃げんばかりに去る山賊。  男は白馬の元へ戻ると再び手綱を持ち、何事もなかったかのように歩き始める。 「旦那はこれからどこへ?」  物怖じしない少女。 「ポワン」 「え?あの城は今、危険ですよ?どういうわけか魔物が集まってきて、民もなぜか目を血走らせて日夜戦ってるって噂が……」 「知っている」  少女は腕試しの武辺者とでも理解したのか、答えを分かっているつもりで尋ねた。 「そんなところに、何をしに?」  足を止め、陰の中で眼光を光らせる。  その先の空は不自然な暗雲が立ち込めていた。 「女を、殴りに行く」 「……え?」
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