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弐
晴天の高原を望む古い城跡。石垣の上には数人の男。
「先生!いかがですか?」
白いドレスに身を包んだ金糸の美少女が走ってくる。
「お美しいですよ、姫。しかし、先生はやめてください」
こちらもまた正装で金髪。
白い軍服のようなスタイルに肩がけの勲章が似合う体躯のいい青年。
「先生こそ敬語はやめてください。あなたは私の夫になるのですからっ!」
姫は高いヒールのまま地を蹴り、ドレスを舞わせて飛び上がる。
人一人分の段差など軽く越え、青年の胸に飛び込んだ。
ゴホンと老兵が咳払い。
「姫様にも困ったものです。公女様方やメイドなどよりも、我等近衛兵や親衛隊を家族とおっしゃる」
「勇ましくしてしまった責任を取らせていただく」
「わはは!」
青年が冗談めかすと皆笑う。姫は一人むくれた。
「みなさん、無礼ですよ」
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