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やりなおし?今………?やりなおしと言ったの?アルーネの、彼女の頭にやりなおしの言葉が響く。頭の中に反響し、そしてそれは、彼女の頭を埋め尽くした
「本当にやりなおしが出来るんですか?あの欠陥だらけの人生を変えられるんですか?」
アルーネの声は震えていた。彼女自身気が付いては居ないだろう。だが、彼女の声は確かに震えていた
「そうだよ。君は選ばれたんだ。やり直しが出来るか、出来ないかは。君次第だけどね」
「だから、君に聞くんだ。君は」
「やり直すかい?人生を?」
「私は………」
アルーネは迷った。あんな最期をおくった人間なら尚の事悩むだろう。だが、彼女は少しだけ思ってしまった。生きたいと、生きていたいと。ならば、それなら
「やりなおします。人生を」
「そうか………」
レコードは少しだけ悲しくなった。だが、彼女は笑顔に戻った
「では、笑顔で送り出すよ。人生のやり直しの刺客達に負けないように頑張って行ってね」
「えぇ、ありがとう」
アルーネは後ろ歩きで2.3歩下がると彼女を確りと捉えた
「ねぇ」
「なんでしょうか?」
「ひとつだけ聞くね。失った心は取り戻せるものかな?」
「…………無理でしょうね」
レコードはゆっくりと手を上に上げて、そっかと呟き腕を全力で下げた。そこには、アルーネの姿はなかった。チリ一つすら残らずに消えたのだった
レコードは椅子に座り膝を抱えた。そして、膝に小さな雫を溢して
「ごめんね………アリエス」
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