自由という名のウタを。

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少年は、自由を謡う。 窓の無い部屋の中、寒気のする光の中で、少年は目を閉じていた。 瞼の裏、頭の中の世界には青色が、広がっていた。 青、蒼、碧、見た事の無い、あおいいろ。透き通る程明るく、目が覚める程輝き、目を背けたくなる程深い、青。 こんなものは見た事がないのに、少年が目を閉じると、瞼の裏にどこまでも広がる、無限の青。 どこまでも広がるそれは、恐怖と好奇心を同時に思い起こさせる。 この青が、どこまで続いているのか。それは、少年の唯一の楽しみであった。
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