懐かしき悪戯。

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*** その後は稽古も無事終わり、帰ろうとしていたところへ宗次郎が、近くまで見送ると言って付いてきた。 何故そう言ったのかは、宗次郎の甘味好きからして想像するのは容易い。 『宗次郎、甘味処へは寄らぬからな』 『そんな! いいではないですか! 千歳さんだって大好きな、みたらし団子を食べたいですよね?』 『そりゃもちろん!』 はぁ……。 これだから困る。千歳にまで食べたいと言われたら、こちらとしては断れないではないか。 『仕方ない、今日だけだからな。それに一人一本ずつだ。俺もそんなに金子を持ち合わせていないし、仲良く分けろ』 すると二人は「やった!」と両の手を合わせあって、蛙の様にぴょんぴょん跳ねる。 大きい子供を二人連れている感が否めないのは、俺の気のせいではないだろう。 甘味処にやって来ると、早速宗次郎がみたらし団子一皿を店の人に頼み、俺達は野天に置かれている床几に座って待つこととなった。 『それにしても今日は見事に引っ掛かりましたよね』 宗次郎が引っ掛かったと言うのは、土方さんの木刀すり替え事件のことだろう。全く……。 『本当よく出来るな、くだらない。そんなことをして何になるというんだ』 『何にもなりませんよ。敢えてくだらないことをする。それが悪戯の醍醐味というものでしょう? ねっ、千歳さん』 『うん』 『宗次郎、いい加減千歳を巻き込むんじゃない。今日だって土方さんに頭をひっぱたかれたんだぞ』 『でもはじめくん、わたし楽しいけど』 『ほら、千歳さんも楽しいと言っているんです。そうガミガミ言わないでください。眉間の皺が怖いですよぉ』 言われて思わず眉間の辺りをさする。
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