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『そうですか……、それは気の毒に。何か避けられる術は無いのでしょうか? これではあんまりです……』
『だから今、千歳の気持ちを確かめようとここに来た。幸いにも、土方さんが手を貸してくれると仰っていたから、俺は何でもする覚悟でいる』
何を思って土方さんがそう言ってくれたのかは分からない。
いつも宗次郎と一緒になって悪戯をする千歳とは図らずも犬猿の仲みたいなものだったから、借りを作りたいだけだったのかもしれない。
だが土方さんの言葉で俺は、どこか吹っ切れたような気がする。
千歳と子供達が気の済むまで遊び終えるのを待ち、宗次郎が千歳を連れてこちらにやって来た頃にはすでに太陽が沈み始めていた。
『はじめくん……! 来てたんだ』
『千歳、一緒に帰ろう』
『うん』
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