闇夜を包んだ月。

義兄妹。

不思議な出逢いだった。

何故俺が、見ず知らずの初対面の子に、こうも自分から心を開いたのかは分からない。

初めてのはずなのに、ずっと会っていなかったかのような懐かしさ。

そのときの気持ちがどういうものなのかは、ずっと後になって俺は知ることになる。

あれから千歳を引取りはしたものの、一向に養子として迎えてくれる者は結局現れず、こうして千歳は山口家の養子となり、俺の義妹として生活を共にすることとなった。