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車窓は徐々に、グレーの景色から見慣れた風景を映し始めた。
私は、相変わらずドアの脇の手すりに寄り掛かってヘッドフォンで音楽を聴きながら携帯を弄るその女をぼんやりと観察しながら、反対側のドアの脇の席に座り、
彼女と同じようにヘッドフォンで音楽を聴きながら、同伴予定の客の事を考えた。
めんどくせえ。
何もかもを経験してきましたと言わんばかりの落ち着き払った私を前にすると、見栄を張る、虚勢を張る、強がりを言う。
店に飲みに来る客はそんな類の男が多く、それを思うと、また更に憂鬱に陥った。
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