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何だろう。 彼を見て一瞬、彼は浅井さんのゴーストライターだろうかと私は思った。 二人がやって来た事で舞は自然と席を立ち、私の隣りに移動して来て腰を下ろし、それと入れ替わるように、浅井さんが店員に向けて生二つ、と注文しながら私の向かいの席に着いた。 舞の向かいに座ったその若い男は、私たちよりはニ、三、上か、 もしくはタメか、などと考えながら、 黒髪の襟足はもっと短い方がいいのになあとか、 半袖のシャツの下に着ているのが、Tシャツなのかタンクトップなのかよく見えないなあとか、 ひとしきり彼を観察しながら、何となく自分たちと同じ匂いを感じたりもしたけれど、私はもう、すでに、八割方彼が浅井さんの代筆者であることを決め付けた心持ちになっていた。
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