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私は不合理な事をしているだろうか。 少しだけ心配になったけど、舞がさっき私も無心に眺めた池の中の鯉を見てはしゃぎ出すものだから、つられて私も舞の隣へ行きガラスの戸越しに鯉を眺めた。 学習能力の欠片も無さそうに相変わらず口をパクパクさせて餌を求めて集まって来るやつらは、 いくら縋っても私からは餌は出てこない事を知らない、狭い池の中の惨めな生き物だ。 「餌を求めて寄り集まるのは分かるけどさあ、こんだけひしめき合うように寄り集まると気持ち悪いよね」 舞が、ガラス戸越しに鯉を観察しながらそう言うと、私は少しだけ彼らに同情に近い眼差しを送らせた。
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