2・彼等はロバの令嬢に出会った。

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かくして、昼食を終えた二人は、野に花が咲く町外れの街道を歩いていたのであった。  空気も軽い春の陽気が、辺りに微かな安息を与えていた。  ナメネコのあったケットシーの街を西に歩くと、そこはもう一山先が見えるほどの広大で自然豊かな平野の野道である。  開拓中に生まれたとされるこの街道も、ウェラー大陸の経済成長に連れてその使用者はグンと減ってしまっていた。  昔、戦争が始まる前の数年に渡り、この道を利用していた農夫や荷馬車が多く見られたが、今は、西の三大国が新たな道を開拓したことによりこの街道も最早不便な通路となっていた。  そんな、不便きわまりないであろう舗装もままならない街道を行く二人の男は、おそらく、相当の世間知らずの田舎者に違いない。  そんな中、例の二人はと言うと、女子の話題に身を興じていたりする。 「それにしても、一体何時になったら華やかな美女達は通りすぎるのであるかサンチョパンサー?御前少しその辺でリサーチしてくるのである」  ドン・キホーテがサンチョパンサーに呑気な声で頭に腕組みしながらそう言った。  すると、サンチョパンサーが同じく呑気な声でこう言って返す。 「なぁに言っちゃってるんですかぁドン・キホーテさん。 只でさえこんな辺境の田舎道にわざわざ来るような貴婦人や街の女性は貴方みたいな変人でもない限りまずあり得ないですよ。 居たって、物資運びの荷馬車かその手の商売人くらいでしょうし」  サンチョパンサーは自分の体くらいありそうなずだ袋を背中に背負っている。  そんな、サンチョパンサーの呑気な声を聞いたドン・キホーテは雑談を始めていた。 「なぁサンチョパンサー。妻と言うのはどうやって手に入れるものなのであるか?そこらへんの女性に話し掛けてもサッパリ見当がつかないのである」  ドン・キホーテがこれまた難しい話をサンチョパンサーに降ってきた。  サンチョパンサーも、その発言には色々と頭がいたい様子でドン・キホーテに応えている。 「あのねぇドン・キホーテさん。こう言うのって一応段階を踏まないといけないと思うんですよぉ。 貴方がもし妻を目とりたいのだと言うのならまず始めにすることは女性と付き合うことからでしょう? 彼女もいないうちからそんな話は夢のまた夢ってヤツですよぉ」
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