【第13話】危険な匂い2

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「参ったなぁ。 どうします遠藤さん?」 「ヤツら、プロだな。 警官のひとりやふたり、 目じゃないって顔だったぜ」 「交番じゃなくて、 どこか大きな警察署とかありませんかね?」 宇崎には遠藤が、 華麗なるハンドルさばきで追っ手を振り切る姿を、 どうしても想像できなかった。 「三キロほど先にあるけどね」 「本当ですか!よかった!そこへ行きましょう!」 「それまでに捕まらなければ、だけどね」 「走ってるんだし、 この道じゃ追い越しもできないんだから」 「それがね、 そうでもないんだ。 ほら」 遠藤は宇崎に、 フロントガラスの先の道を見るよう促した。 「四車線ですか?」 「ああ。 あの交差点から先は、 道幅が広がってるんだ。 もし追いつかれて、 横に並ばれたり、 前に回られたら逃げられないぜ」 「どうするんです?」 「・・・仕方ねえ」 といいながらも遠藤は、 まんざらでもないような顔で背筋を伸ばし、 シートに深く座りなおした。 「ふたりとも足を踏ん張って、 しっかりつかまってろよ!」 エンジンを徐々に高嗚らせるタクシーの中で、 宇崎はやっぱりカーチェイスかと諦めながら、 無事故無違反歴30年の、 ベテランタクシードライバー遠藤に、 命を預ける決心をした・・・。
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