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「大丈夫じゃないよ?
自分の身は自分で守る。
毅くんがずっと一緒には居てくれないんだからね!
うちに帰るときには麻美一人だし、
襲われたりしたら女の力じゃ自分を守れない。
そんなことになったら、麻美だけじゃない、
毅くんだって、パパやママだって悲しい。
もちろん私も。
こんなことするんなんて、許せない。
こんなことする奴は、死刑にすればいいのよ。」
いつもの優子じゃない。
何か怯えて、
凄く怒ってる。
「優子…?
大丈夫?」
なんて言っていいのかわからない。
ちょっと怖い…
「あ、ごめん…
小さい頃ね。
お姉さんがね…
あ、近所のお姉さん。
よく遊んでくれたの。
優しくて、キレイで。
憧れのお姉さんだった…
その人が、
その人がね…
そう言う事に巻き込まれたの。
暴行事件。
あの頃は今みたいに警察は個人情報を重視してなくて、
あっという間に町中に広まった。噂が。
あちこちで聞き回るんだもん、
みんなが知っちゃう事になったのね…
私には意味が解らなかったわ。
まだ小さい頃だったから…
だけど、
優しいお姉さんも、
部屋から出なくなって…
ノイローゼみたいになって…
住んでたマンションから飛び降りた。
死んじゃった。
どうして死んじゃったの?
お母さんに聞いても、
乱暴されたの。
って。
それだけ。
小さい私には、殴られたりしただけかと思って、
それでどうして死んじゃうんだろうって。
意味が解らなかったんだ…」
優子は話しながら、
涙を流す…
「優子…」
かける言葉が見つからない。
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