第3話

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黙ってた優子。 私もなにも聞けない。 そんなこと簡単に考えてた私が子供みたいで、 なにも言えないんだ。 「ゴメン… 嘘付いた。 ホントは私のお姉ちゃん。 私が小学校に入ったばかりで、お姉ちゃんは高校に入ったばかりの夏。 歳が離れてたの。 だから、お母さんよりも好きだった。 お姉ちゃんはたぶんまだ、 男の人を知らなかったと思う。 まじめで優等生だったから。 だから、私もお姉ちゃんが死んだ高一の時に女になったの。 こんなことで死ぬなって言いたかったんだ… だけど、 あんなこと、好きな人以外にはあげちゃいけない。 体を引き裂かれるほど痛いんだから。 好きな人だから我慢できるの。 好きな人じゃなきゃ、絶対にイヤだって。 その時に思った。 お姉ちゃんはね… ずっと泣いてた。 泣いて泣いて、家の中にはいつもお姉ちゃんの泣き声が聞こえてた。 で、泣きやんで、 みんなで一緒にごはんを食べたの。 笑ってた。 ああ。 やっと、笑ってくれたんだって、 お母さんもお父さんも喜んでた。 だけど、その日の夜。 みんなが寝静まった頃。 私は覚えてないんだけどね… 窓から飛び降りたんだ。 『ゴメンね。生きる自信がない。』 ってだけ、置き手紙をして…
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