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「それから、悲しみがずっと続いてるの。
マンションには女の子の幽霊が出るって噂が立ったし、
警察がずっとウロウロしてて、
他の住人たちはこそこそうちの噂話してるし。
お姉ちゃんの幽霊が出るんなら、
どうしてうちには出てきてくれないのよ。
って、
お母さんを困らせた。
で、
居づらくなって、引っ越し。
優しかったお母さんもそれからずっと塞ぎ込んだまま。
人が変わっちゃったんだ。
お父さんともいつも喧嘩してて。
私の居場所がどこにもない。
お姉ちゃんがあんなことに巻き込まれちゃったから…
忘れかけて、
こんな事件が報道されると、
すぐにあの頃に引き戻されて…
休まらないの。
心が。
うちに居ると…」
淡々と話す優子が、
なぜか愛おしくて…
抱き締めた
何も言わずに。
「もう。
何で麻美が泣いてんのよ…」
私は泣いてた。
優子の気持ちを想って…
お姉さんの痛みを想って…
残されたご両親の苦痛を想って。
ずるずると、啜りながら、
ただ、抱き締めた。
「だから、
麻美?
ちゃんと自分を守って?」
私のことを想って、話してくれたんだ。
私が軽く考えてるから。
思い出したくない事だろうに、
無理矢理思い出して、
教えてくれたんだ…
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