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私達が中に入ると、先ほどの扉が自動的に閉まった。
まぁ、これは神殿などの建物によくある事だ。閉じ込められたわけではない。
前もってヴィンさんにも伝えておいてあったので、ヴィンさんも驚きはしない。
それにしても、中は真っ暗。目だけだと周囲が全く見えない。
私は持ってきた荷物を手に任せて漁る。明かりを……。
「メイちゃん」
「はっ!?」
私は腰に装備している短剣を抜き、攻撃されないように構えようとした。すぐにやめた。
「ああ、ヴィンさんだった。失礼」
「え、どうしたんすか」
「いや、いつも一人で探索するものだから……。敵かと」
「ええっ?」
探索中に人にたまに会うのだが、探索して迷い果てて食料を強引に奪おうとする輩が多いこと多いこと。
短剣はその為の正当防衛用の武器なのである。
「で、何のようですかヴィンさん」
「あ、そうそう」
私はランプを探す作業に戻った。
「えっと、今回の探索の目的は何なのかなと思ったんすよ」
ランプを取り出し、マッチで火をつける。
自分達の周りが少し明るくなった。
「そうですねぇ……」
今回の目的は大きく分けて二つ。
まず一つは、この神殿の歴史について調べること。
ここは、はっきり言って謎が多い。特に、歴史については全く載っていないのだ。
こんなにも大きい神殿なのに、歴史がないというはずはない。
そこで、私達探検家の出番だ。できるだけ歴史となる情報を集め、自分達の拠点に持ち帰るのだ。
この神殿に出入りする探険家はそれなりにいるが、罠が多かったり暗闇が多すぎてマッチ棒がなくなってしまったりと、「歴史」を持ち帰ってこれた探検家は一人もいない。
私はマッチを半ダース用意したから大丈夫だろうが……。
「それ、多すぎる気がするっす」
「そうですか?足りないよりはマシです」
「え~……」
もう一つは、お宝だ。
「歴史」を持ち帰れた探検家がいないのだから、もちろんお宝を持ち帰れた者もいないはず。
お金にする物もあれば、歴史を調べる材料となる物もあるが……
どちらにせよ、メリットのある物だ。
「おお!お宝っすね!」
そんなに目を輝かせて……。
「ヴィンさん、お宝を見つけてもむやみにとっては駄目ですからね。見つけたらまず私に知らせてくださいよ?」
「わかってるっすよ、メイちゃん!」
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