犬と少年と宇宙探偵

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「てか、時間いいのか?お前、今日は珍しくニュースなんて見てたから、多分お前が思ってるより時間ヤバいぞ?」 目玉焼きにかける醤油に手を伸ばしながら、武雄はそう言った。 「…………忠告が………おせぇんだよクソ親父!!」 時計を見ると確かに思ってたより時間がヤバい。このままだと遅刻する。 まだ制服に着替えてもいねぇってのに。クソ親父の相手するのに時間をとられ過ぎたか……。 って食器も洗わねぇと! 親がしっかりしていないと息子は苦労するものだ、と瞬はしみじみと思った。 ーーそして家の仕事を終え、最近習得した高速着替えで学校指定のグレーのブレザーに着替えると、そのまま武雄と言葉も交わすことなく家を出た。 家から学校までは全力で走れば10分、そして授業が始まるまで、あと9分……。 正直かなりキツいが“近いから”という理由で選んだ学校に遅刻するのは俺の小さなプライドが許さない 「最高記録叩き出してやるよ……」 絶望的な状況に俺は本気になり、トレードマークだと自負している黄色いヘアバンドを頭に巻いた。
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