犬と少年と宇宙探偵

8/28
前へ
/45ページ
次へ
一応学校では陸上部で、校内では先輩も差し置いて一番速い……筈だ。 この前の地区大会では100メートル、200メートル共に優勝。県大会ももう少しで全国大会の切符を手に入れれるってとこまで行ったのに…………惜しくも逃した。 まぁ、早い話、自分で言うのもなんだが俺は相当足が速い。 ーー大変なことに気づいた。前に10分で学校に着いた時は良かったのだが、 今回は、もしかすると通学路に一つだけある信号が赤かもしれない!! もうすぐ横断歩道が見えてくる。 青であれ、青であれ、青であれ、青であれ! ーー青だ!!…………って点滅しとるぅぅ!! 間に合うか? 間に合え! 間に合って下さい!! そんな願いも虚しく横断歩道まであと50メートル位のところで、信号は赤に変わった。 「ハァ……ハァ……ちくしょう…」 時間内に学校に着くのはもう不可能だろう。 新学期に入ってまだ間もないのに、もう遅刻かよ。 不意に横断歩道の先の歩道を見た。 人はいない。 ーーでも、確かに"何か"がいた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加