犬と少年と宇宙探偵

9/28
前へ
/45ページ
次へ
ーー少し時をさかのぼり、ある空き地では…… 宇宙船とその主が佇んでいた。時折、空き地の前の道を人が通るが立ち止まる者はいない。 そう、この宇宙船の主である宇宙探偵は空き地の四隅に謎の機械を設置し、空き地自体を視認できなくしたのだ。 そして宇宙探偵は今、悩んでいた。 「地球人にとってのダンディーな格好が分からない……」 他の星ならば本来の姿で悠々と闊歩するのだが、まだ他星人の存在を知らない地球人を前に本来の姿で現れればビックリされてしまうに違いない。 どうすればいいんだ……。 悩むこと7秒。 「そうだ!姿を"透明化"して市内視察に 出よう!」 そして地球人を観察し、最もダンディーな個体に"変幻"する。 宇宙最強の生物である私にとって透明化など容易い。地球の表現で言うと、 "朝ご飯より前"……だったっけ? とにかく我ながらナイスな考えだ。 決断すると行動は速い。宇宙探偵は一度目を閉じると、みるみる姿を後ろの景色と同化させていった。 そして小さな空き地に今一時の別れを告げた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加