4人が本棚に入れています
本棚に追加
ーー速見 瞬は混乱していた。
まず横断歩道の向こう側に見えた透明な“何か”、透明なのでおおよその輪郭しか分からなかったが多分、人ではない。
そして、その透明な“何か”は少し躊躇したものの赤信号なのを無視して横断歩道を渡り始め、
大型トラックに撥ね飛ばされた。
鈍い衝突音は聞こえたのだろうが周りの人達はあの“何か”が完全に見えないらしくキョロキョロしていた。
しかし本当に驚くことが起きたのは、この後だった。
なんと、その轢かれたものから幾数もの光の球体が飛び出し、散らばったのだ。
やはりこの光も瞬にしか見えていないらしい。他の信号待ちの人々は光の球体に見向きもしない……。
その時
なんと光の球体の幾つかが瞬の体の中に入っていった。
他の球体は別のところへ飛んでいった。
多分、この街全体に……。
ーーそれが
全ての始まりだった。ーー
最初のコメントを投稿しよう!