犬と少年と宇宙探偵

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ーー「はぁ……」 夕日でオレンジ色に染まったグラウンド、絶え間なく聞こえてくる運動部の掛け声、その放課後の校庭の景色に溶け込んでいる俺。 結局、俺は体力テストでは現実的にあり得ないタイムが出たので後日測り直しとなり、体育の後の授業はと言うと…… 「確かに速見の奴、後半の伸びは常人の域を越えてたな…」 「なんか、ドーピング?とかしてんじゃねぇの?じゃねぇと、あんなのあり得ねぇよ」 「え!?ギネスにこの学校載んの?」 授業どころじゃなかった……。 聞いた話では、俺は後半になればなる程、速度を上げ最後の方なんかは全力疾走より速く見えたらしい。 バカげてる。 もしかするとクラス全員と体育教師で俺をドッキリに掛けようとしてるのか?なんて考えたが、どうやらそうでもなさそうだ。 そして今、俺は部活でグラウンドにいる。けど、なかなか走る気になれない。 俺は走ってる時が一番楽しい。コンマ1秒単位での戦い、追われる時の切迫感、追いかける立場の時の緊張感。 努力次第で縮まるタイム。 特に自己新記録が出た時は、過去の自分より強くなったっていう実感を得ることができる。 そんな陸上が俺は好きだ。 でも……。
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