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ーー「この時間に走ってないなんて珍しいね瞬君」
一人グラウンドの隅で項垂れている俺に話しかける奴がいた。不意討ちだったからちょっとビックリした。
あ……
「冬…咲………?」
「何?同じクラスなのに名前忘れてたのー?」
怒ったのか、頬を膨らませる“冬咲 雪菜(フユサキ ユキナ)”
忘れるわけがない。驚いて本人確認してしまっただけだ。だってまさか冬咲に話しかけられる日が来るなんて思いもしなかった。
首もとまでのショートカットの茶髪、俺とそんなに変わらない身長に華奢な体つき、ちょっぴり幼さが残る可愛らしい顔。
正直、俺はそんなに人と関わらないし、あんまり他人に興味を持たない。
そんな俺が、ある日……何て言うんだろう………うーん…まぁ、簡単に言うと“一目惚れ”した。
てか、冬咲は美術部かなんかだった筈だが?
「ここ一週間位、作品仕上げる為にちょっと残ってたら、いつも瞬君が毎回ここで走り込んでるの見たから今日は何で走ってないのかなぁって気になったの」
え?こいつ、俺の心読んだ?
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